初めて選挙権を持つ皆様へ
私、向田まさひろは、「市議会議員」という役割を担っています。
「市議会議員」の一番大きな役割は、市民の皆様から「松山市」にて生活を送る上での困ったこと、もっと良くしてもらいたい事、変えてほしいことなど、みなさんの「悩み」や「ご要望」をお伺いして、これを「松山市」という行政機関へお届けすることにあります。
「松山市役所」とは、この「松山市」という地域で皆さんのお父さんお母さん、又は皆さん自身が支払った「税金」を使って運営されている「行政機関」です。
私たちの役割は、行政機関である「松山市」が、皆さんの税金を適正に運用しているのか、ということをチェックするための役割です。
「税金が適正に運用されていいるかどうか」ということを計測するための「ものさし」となるのが、皆さん自身の「生活水準」です。皆さんの生活の中に、「困ったこと」とか、「困った状態のままいつまでも良くならないこと」がたくさんあるのならば、それはみなさんの税金が「適正に使われている」とは必ずしも言えないのではないでしょうか。
皆さんが支払った税金が、適正に使われる様に松山市に声を届け、少しでもよくなるよう働きかけていくことが私たちの役割なのです。
「投票」の意義
2016年(平成28年)6月19日より選挙権年齢が引き下げられ、年齢が18歳になっていれば、高校生でも選挙にて投票を行うことができるようになりました。
ですが、選挙権が与えられたといっても、皆さまの中にはまだ、「自分たちはなぜ投票しなければならないのか」とか、「自分たちが投票を行ったとしても、何も変わらないんじゃないか」とか、「どの立候補者に投票すればよいか分からない」などといった疑問がたくさんあるのではないでしょうか。
では、そもそもなぜ「選挙権年齢」は引き下げられたのでしょうか。
「日本国民に、もっと政治に関心を持ってもらいたい」
「大人」はいい意味でも悪い意味でも、皆さんに比べるといろんな「情報」を知りすぎています。
「情報」とは、言い換えると「選択肢」のことです。
皆さんが試験を受けるとき、この様な「選択肢」が設けられた問題をよく見ると思います。
例えば、
松山市の市花は次の内どれでしょう
1.バラ
2.桜
3.椿
4.菊
と、この様な質問です。(正解は3番)
「バラ」という名前を聞かされた時、みなさんの頭の中には、バラの形、色、におい、咲いている場所など、様々な情景が思い浮かぶと思います。このように、みなさんの頭の中に思い浮かんだ様々な情景のことを「情報」と言います。
この、皆さんが思い浮かべることができる情報の中に、「松山市の市花は椿である」という情報が含まれていて、初めて皆さんんは上記の選択肢の中から正解を選ぶことができます。
ですが、大人が持っている「情報」の中には、正しい情報も間違っている情報も、たくさんの情報が含まれていて、判断する大人たちもどの情報が正しいのか、間違っているのかを判断することが簡単にはできません。
特に、日本が戦争に敗れた後、「GHQ」というアメリカの組織によって一時的に占領された日本では、このGHQという組織の下、たくさんの誤った情報も教えらえてきましたから、特に「戦後教育」を受けてきた大人たちの中には、この様な情報の中で、どの情報が正しく、どの情報が間違っているのかということを判断することができない人がたくさんいます。
ですが、皆さんの中には、私たち「大人」と比べると、この様な「選択肢」の数が少なく、また大人たちに比べれば色々なことを調べるための時間もたくさんあります。
「選挙権年齢を引き下げる」という法律を作った政府の人たちは、大人たちに比べると沢山の時間があり、柔軟な考え方ができる世代の皆様に、「政治」というものに関心を持ってもらい、たくさんのことを勉強してもらうことを目的としてこのような法律を作りました。
「投票をする」という行為は、皆さんが「政治」に関心を持っていろんなことを調べるための「きっかけづくり」なのです。
「投票」で何かが変わるの?
このページの冒頭で、私たち議員の役割は「税金が適正に運用されていいるかどうか」をチェックすることにあり、またこれを計測するための「ものさし」が皆さんの生活水準であることをお伝えしました。
ですが、どなたかお一人の生活水準をよくしようと考えても、そのことで必ずしもすべての松山市民の生活が良くなるわけではありません。寧ろ逆に、だれか一人の生活を良くしようとしたときに、却って別の人の生活が不便になることがあります。
この状況を何とかしたいと考えたとき、不利益を被る可能性のある市民に代わって議員が行政に働きかけ、双方にとってより良い選択肢を与える為の選択肢を用意する事でこのような状況が解決することがあります。
「選挙」とは、この様に、どちらか一方ではなく、より多くの市民がより良い生活を送ることができる選択肢を用意することができる人を選ぶためのものなのです。
また、この時にたった一人の意見だと中々解決することができない場合も、より近い考え方を持った議員さんがグループを作り、チームとして行政機関と交渉することで解決する問題もたくさんあります。
「政党」とは、この様な「チーム」の代表的なものです。
投票率の低い選挙
だけど、自分にはそんな解決をしなければならないこともないから、別に投票に行かなくたっていいや・・・と思う人もいるかもしれません。
ですが、そのような選択肢を選んでいると、いつの間にか自分の知らないところで、自分にとって不利なルールが勝手に決められてしまうかもしれません。
先ほどお示しした「政党」の中には、「投票率が低ければ有利な政党」が存在します。
それは、「組織的に投票してくれる支援者が多い政党」です。
実は、「投票結果」を左右するのは「浮動票」と呼ばれるグループの存在です。
「浮動票」ってなに?
「浮動票」というのは、簡単に言えば、支持する立候補者や政党がなく、選挙期間によって投票する立候補者や政党を変化させる人たちが構成しているグループです。投票そのものにも行ったり行かなかったりします。
このグループ多く投票するときは投票率が高くなり、余り投票しないときは投票率が低くなります。
「投票率が低い選挙」というのは、「浮動票」が動かない選挙のことで、結果的に「組織的に投票してくれる支援者=組織票」をたくさん持っている政党や立候補者に有利に働きます。
例:すべての投票数が100票であった場合
立候補者Aに、毎回投票する支援者(組織票)が40票、立候補者Bに毎回投票する支援者(組織票)が30票、残る30票が「浮動票」であったとします。
仮にこの「浮動票」がまったく動かなければ当選するのは立候補者Aですが、浮動票が11票でも動いて立候補者Bに投票すると当選者は立候補者Bになります。
2種類の「浮動票」
「浮動票」というグループを構成している人たちが、投票に行かなかったり、選挙のたびに投票する相手を変えるには、いくつかの理由があります。
①「立候補者や政党のことをよく知らない」
②「投票しなければならないと思ってはいるけど、政治のことがよくわからず、だれに入れればよいかわからない」
③「そもそも政治や選挙に関心がない」
と、この様な理由が主なところでしょうか。
③が理由である人はともかくとして、①や②を理由とする人たちは、政治や選挙に関心がないわけではありませんから、できる限り地域や日本のことをよくしてくれる人に票を投じたい、と考えています。
ですから、どこかからその情報を手に入れようと考えます。
その時、最も多くの人がその手掛かりとするのが「テレビ」や「新聞」そして「週刊誌」などの「マスメディア」が発信する情報です。
ですが、マスメディアは必ずしも正しい報道をするとは限りません。時に専門家や有名な芸能人などが登場してその人たちが「正しい」と思っている情報を発信します。ですが、その情報を疑うことなく、「鵜呑み」にすることだけはやらないでほしいのです。
同じ「浮動票」でも、そこには2つの種類があります。
一つ目は、マスメディアが発信した情報を疑おうとせず、マスメディアがコントロールしようとした政党や立候補者投じられる「浮動票」。
もう一つは、確かに入り口は「マスメディア」かもしれませんが、マスメディアで発信される情報を自分なりに調べ、検証して、自分自身の意志で投じられる「浮動票」です。
結局一番大切なのは・・・
たとえ失敗しても構いません。まずは「投票すること」が一番大切です。
そして、もっと大切なのは、その投票した一票に「責任を持つこと」です。
投票するということは、投票する立候補者に対して関心を持ち、色々なことを調べるということです。
そして、「投票に責任を持つ」ということは、「投票した立候補者」に対して関心を持ち、当選後もその立候補者に対して「関心を持つ」ということです。
「投票した一票に責任を持つ」ことで、たとえ最初の投票に「失敗」したとしても、次の選挙で投じる一票にはその「投票した意味」が大きく反映されます。
私は「市議会議員」であり、当然次回も立候補する予定です。勿論私自身にあなたの一票を投じていただきたいというのは本心です。ですが、私が本当に大切にしてほしいのは「私に投票するかどうか」ということではありません。
私に票を投じるかどうかは関係ありません。あなたが一票を投じる前に、あなた自身がきちんと勉強し、責任をもってその一票を投じていただきたいのです。
長い目見れば、その事が私が籍を置く「松山市」の、そして「愛媛県」の、ひいては「日本」という国の将来をより明るくする事になります。
どうか松山市政の為、大切なあなたの票に「責任をもって」その一票を投じてください。
松山市議会議員 向田まさひろ