令和 6年 6月定例会 06月20日-02号
子どもの貧困について
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◆質問 向田将央議員
おはようございます。自民党議員団の向田将央です。6月議会最初の一般質問をさせていただきますので、理事者の皆様におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いします。
今議会の補正予算案の一つに、出産世帯への経済的な支援として、出産世帯応援事業及び出産世帯奨学金返還支援事業が上げられています。
これらの事業には、少子化対策と子育て環境の充実を目的に、結婚新生活支援事業や不妊治療費補助事業などと併せて、昨年6月議会で議決を受け、少子化対策の一環として始まったもので、今回は補助の対象となる年齢の拡大に伴い、必要となる予算が計上されています。
先般、総務省が公表した資料によりますと、令和6年4月1日現在、15歳未満の子どもの人数は、前年に比べ33万人減の1,401万人と、43年連続減少しており、子どもの割合で見ても前年に比べ0.2%減の11.3%と、50年連続の減少と、それぞれ過去最少の数字となり、全国的に少子化がさらに深刻化している状況です。
こうしたことから、松山市に限らず、全国的に少子化対策は非常に重要で、喫緊の課題であることは言うまでもなく、私としては、今回の補正予算案に計上されている事業は、新生児を出産した世帯をより広く支援するもので、少子化対策への効果が期待できるものと思っています。
また、この出産世帯応援事業及び出産世帯奨学金返還支援事業は、少子化対策だけでなく、貧困世帯への支援という側面においても、私は大いに期待をしています。そこで、
まずお伺いします。
6月補正予算で上程されている出産世帯応援事業及び出産世帯奨学金返還支援事業の概要についてお聞かせください。また、本事業の令和5年度の実績と令和6年度の見込みについてもお聞かせください。また、今回補助の対象となる年齢の拡大による効果についてもお示しください。
◎答弁 野志克仁市長
松山市は、令和5年にこども家庭部を、今年はこども家庭センターを新しく設け、出会いから結婚、妊娠、出産、育児まで、母子保健と児童福祉が一体になって切れ目なく支援しています。
また、県の人口減少対策総合交付金も生かし、県と市が連携して少子化対策をしています。そのうち出産世帯応援事業は、ベビーカーなど育児用品や家事の負担を減らす家電などを購入する費用に、新生児1人当たり最大20万円を補助します。
出産世帯奨学金返還支援事業は、原則母子手帳の交付を受けた日から1歳になるまでに返済した奨学金に1人当たり最大20万円、夫婦で合わせて最大40万円を補助します。
対象年齢は、県の要綱で、両親ともに29歳以下だったのを、本市の出産年齢の状況や市民から年齢要件緩和を求める声が多く寄せられたことなどから、県に拡大を要望し、令和6年4月以降の出産では、両親ともに35歳以下に引き上げられました。
本市独自の取組で、36歳以上の非課税世帯に引き続き補助します。令和5年度の実績は、出産世帯応援が641件、奨学金返還支援が275件です。
今年度は3倍以上のそれぞれ約2,000件と約1,000件に増えると見込んでいます。対象年齢を拡大する効果は、20代後半で結婚、30代前半で出産される場合や、30代前半での結婚、出産にも効果が及ぶほか、30代前半の第2子や第3子の出産にもつながると考えています。
以上です。
◆質問 向田将央議員
ありがとうございます。
子どもの貧困についていろいろ調べていく中で、ふたり親世帯からひとり親世帯になった一番大きな理由である離婚について気になり、その要因について調べてみました。
まず、離婚の件数について、意外なことに、継続的に減少の傾向にあることが分かりました。平成14年の約29万組の離婚件数をピークとして、令和2年の段階では19万3,000組にまで減少しているのだそうです。
松山市の離婚件数で見た場合、平成23年当時、人口1,000人に対し2件を超える離婚率だったのが、現在1.5件ほどに減少をしています。
ところが一方で、離婚件数全体のうち、調停及び裁判による離婚の割合については、平成22年頃から増加傾向にあります。裁判による離婚の場合、親権者となる割合は、母親となる結果が多く、離婚件数全体の85%が親権者に母親がなるのだそうです。
離婚裁判をされたある父親側の思いとしては、母親がお子さんを連れ去ってしまったと思っているさなかに、突然裁判が始まり、母親が親権者に決まってしまい、そのまま一生お子さんに会えないというようなこともあるのだそうです。
このような子どもに会えない父親側の立場から求められたのが、共同親権のようです。
先月5月17日、民法の改正法案が参議院において、与党、野党も含め賛成多数により可決され、法案として成立しました。
この法案の中には、離婚後お子さんに対し、父親と母親の双方が親権を持つ共同親権が可能になること、また離婚後の養育費の問題に関連して、先取特権についても含まれています。
この民法改正は、2026年までに施行されるとなっていますが、この施行までに具体的な運用について検討されることになっています。
お伺いします。
民法改正の中にある共同親権及び先取特権について、現時点で分かっている範囲で、市民の皆様に分かりやすく御説明していただけないでしょうか。
◎答弁 井出修敏こども家庭部長
今回の改正は、令和8年までに施行されますが、現時点で国等の通知などはなく、詳細は確認できません。
こうした実情の中、把握している共同親権の内容ですが、現行の離婚時に父、母のどちらかに定めることとされている親権について、改正法の施行後は、父母の協議により子どもを養育する義務や責任を双方が共同して負う共同親権を選択できることとなります。
この場合、日常生活に関しては、一方の親だけで決めることができますが、進学や転居などは、父母が話し合って決めることになります。
養育費の先取特権については、支払いが滞った場合に、対象となる債権は明らかではありませんが、ほかの債権に優先して支払いを受けることができる権利です。
なお、養育費の取決めがなくても法律に基づき算定された養育費を請求できる法定養育費制度も創設されることになっており、今回の改正は、養育費確保も重点項目としていると考えています。
以上です。
◆質問 向田将央議員
ありがとうございます。
このような親権に関連した民法の制度改正は、実に77年ぶりとのことで、特に私たち自民党愛媛県第1選挙区の塩崎彰久代議士は、自民党ひとり親議連の事務局長も務めており、同議連では、養育費プロジェクトチームを組むなど、この問題に積極的に関わってきました。
代議士の悲願でもあった今回の改正案が成立したことを、同じ自民党議員として大変誇らしく思っています。
さて、離婚後、裁判により養育費を支払うことが決まっていても、やがて養育費を支払わなくなる父親も多く存在し、このことが、母親だけでお子さんを育てるひとり親家庭の貧困問題にもつながっています。
共同親権の問題には、父親側からの意見だけでなく、当然母親側の意見もあります。共同親権になることで一番重要な問題として考えられるのは、DVの問題とお子さんに対する虐待の問題です。
裁判による離婚が成立し、ようやく元夫と離れることができたのに、あるいは虐待を受けていたお子さんをやっとの思いで父親から引き離すことができたのにという御意見です。
お伺いします。
今回の民法改正において、そもそも共同親権を持つのか持たないのかは、お互いの協議によって決めることができること、またDVや虐待などの問題を抱える家庭においては、家庭裁判所が関わるなど、お子さんと離れて暮らしている親が、お子さんと定期的に会って話をする交流、いわゆる親子交流の問題にも対処するようになると聞き及んでいますが、現状として松山市では、DVや虐待などを抱える世帯が離婚した相手から親子交流を求められた場合、どのように関わっているのか、お示しください。
◎答弁 井出修敏こども家庭部長
本市では、親子交流についても福祉・子育て相談窓口などで相談を受けており、それぞれの状況を丁寧に伺いながら、親子交流に関する不安などに寄り添って対応しています。
具体的には、DVや虐待などが原因で離婚した場合の親子交流は、調停などによる取決めに応じて行いますが、取決めをするために相手からの申立てで調停等に臨むこととなった場合には、相手との対面を避けたいといった思いなど、調停の前に伝えておくべきことや子どもの心理的状況の診断書の提出など、個々の実情に応じて助言しています。
また、実際に親子交流を行うに当たって不安をお持ちの方には、付添いを行う支援団体を紹介するなど、子どもと保護者が安心して交流できるよう支援しています。
以上です。
◆質問 向田将央議員
ありがとうございます。
日本では、共同親権というと、離婚後の父親と母親の双方に与えられた権利であると受け止められていますが、海外では、これを権利ではなく、義務であると受け止められている国もあるのだそうです。
日本でも親権者には、憲法や民法、教育基本法、児童福祉法などによって、お子さんに家庭教育や学校教育を受けさせ、生活のために必要な習慣や自立心を育成することが義務づけられています。
共同親権を保有した後も主となって養育を行う親には、子どもと一緒に暮らして世話や教育をする権利である監護権というのが与えられ、日常的な判断は、この監護権者が行うことになります。
だからといって監護権者ではないもう片方の親も、養育を監護権者の親に任せっ切りにすることなく、両者が責任を持つべきであるというのが、共同親権を権利ではなく義務であると受け止めている国の考え方のようです。
今回の法改正において導入した共同親権を義務だとする考え方は、監護権者ではない親が負担すべき養育費が実額として定められ、支払いを義務づけられることとなった理由の一つではないかと思っています。
先ほど養育費の問題が、ひとり親家庭の貧困問題にもつながっていることを言及させていただきましたが、松山市においても、令和3年度より貧困の連鎖を断ち切るためとの趣旨で、松山市子どもの貧困対策計画を策定しています。
この計画策定の基礎資料とするために実施した松山市子どもの生活実態調査、また県が実施した愛媛県子どもの生活に関する調査の結果を見てみますと、困難がある家庭の割合は、大人が2人以上いる世帯と比べ、ひとり親世帯のほうが大幅に大きいことが分かります。
こうしたことを踏まえ、松山市では、子どもの貧困対策計画に基づき、ひとり親世帯に対し、松山市独自の様々な支援を行うこととしていますが、子ども食堂やフードバンクなど、民間団体が主導する取組もいろいろあると聞き及んでいます。
お伺いします。
子どもの貧困対策につながるような民間団体の活動を、把握している範囲でお示しください。また、松山市と民間団体が連携して支援している内容について教えてください。
◎答弁 井出修敏こども家庭部長
本市では、子ども食堂が34団体、NPO法人と民間企業が連携した安価な学生服の購入支援の取組、NPO法人が運営する小・中学生対象の無料塾、フードドライブを実践されている店舗のほか、松山市社会福祉協議会も含め、企業と協力しながらフードバンクを運営する団体など、子どもの貧困対策につながる民間活動を把握しています。
また、市と民間団体の連携は、こども相談課が民間団体から預かった食料品を、支援している家庭の訪問時にお届けしたり、本市の母子生活支援施設では、NPO法人に協力いただき、子ども食堂や絵画教室などを開いたりしています。
以上です。
◆質問 向田将央議員
ありがとうございます。
先ほど御紹介しました松山市子どもの貧困対策計画の中には、令和3年度より具体的な重点政策を計画しており、大きく4つの柱を中心に据え、そこからさらに15項目の細かい施策を設けています。
抜粋して御紹介させていただきますと、1つ目の柱は、教育の支援です。この中には、幼児教育・保育の無償化の推進及び質の向上や、大学等進学に対する教育機会の提供や、教育費負担の軽減、さらには、地域での学習支援などが盛り込まれています。
2つ目の柱には、生活の安定に資するための支援です。この中には、親の妊娠・出産期、子どもの乳幼児期での支援や、保護者・子どもの生活支援、住宅に関する支援などが盛り込まれています。
3つ目の柱には、保護者に対する職業生活の安定と就労の支援です。この中には、ふたり親世帯を含む困窮世帯等への就労支援などを盛り込んでいます。
最後、4つ目の柱は、経済的支援です。ここには、子育て世帯等への経済的支援を掲げています。
このように松山市は、4つの柱を中心に据え、さらに細かく施策を設けています。また、15項目の施策に対し、それぞれ複数の事業を設け、現在全力で取り組まれていると思います。
お伺いします。
松山市の掲げる子どもの貧困対策計画の4つの柱の政策について、これまでしてきた具体的な事例と現在その成果として現れているものがあればお願いします。
また、これらの政策に取り組むには、相応の財源も必要になるかと思いますが、その財源の活用状況についても教えてください。さらには、今後本計画に関連して新たに取り組む予定の事業があれば、御紹介をお願いします。
◎答弁 井出修敏こども家庭部長
まず、教育の支援では、子どもの進学に要する資金を貸し付ける母子父子寡婦福祉資金貸付事業を実施しており、令和5年度は、進学準備金で56件、学費で48件利用されました。
生活の安定に資するための支援では、家庭での困り事やひとり親の自立支援のために福祉・子育て相談窓口を設けており、5年度は5,516件の相談を受け、助言や支援をしました。
保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援では、就職や資格取得を支援する高等職業訓練促進給付金等支給事業などを実施し、5年度は49人の方の就業につながりました。
経済的支援では、昨年12月から子ども医療費の助成を18歳の年度末までに拡大したほか、5年度は低所得の子育て世帯生活支援特別給付金給付事業で、約9,000世帯に対し子ども1人当たり5万円を給付しました。
以上、4つの柱の取組に伴う財源は、母子家庭等対策総合支援事業費国庫補助金や愛媛県ひとり親家庭医療費補助金など、国、県の補助金や交付金を有効に活用しています。
今後の取組としては、松山市こども計画の策定に向けて実施したアンケート結果なども参考にしながら、子どもの貧困対策に向けた新たな取組も含め、現行の支援制度や事業の改善を検討することにしています。
以上です。
◆質問 向田将央議員
ありがとうございます。
最近、厚生労働省の取組として一つ目に留まったものがあり、松山市からもその取組について御紹介をいただければと思います。
それは、3週間ほど前に開設された出産なびというサイトのことです。
昨年4月より出産育児一時金について42万円から50万円に引き上げられたのですが、せっかく一時金が引き上げられたのに、産婦人科医院側で出産費を値上げされるケースが相次ぎ、地域や施設によって費用の差も大きくなっていると聞きました。
今回テーマとして、子どもの貧困問題を取り上げましたが、この問題の中には、若年妊産婦の問題も含まれるのではないでしょうか。
中にはどこに相談していいのか分からず、またどれくらい負担がかかるのかと不安になる人もいらっしゃると思います。
今回厚生労働省が開設した出産なびは、スマホなどで簡単に見ることができ、特に出産に係る費用が幾らになるのかといった情報を見える化することを目的として開設されたのだそうです。
松山市も施策の中には、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行いますと宣言し、経済的困難者に対する出産費用の助成についての言及もあります。
出産に関する支援も子どもの貧困対策としてとても大切なことだと私は思います。
お伺いします。
松山市では、特に貧困世帯に対し、どのような出産支援を行っているのか、御紹介いただけないでしょうか。
◎答弁 井出修敏こども家庭部長
本市では、令和5年度から経済的な理由で出産などの費用負担が困難な妊婦の方を対象に、妊娠判定を受けるための初回産科受診料を助成しており、9人が利用されました。
また、指定の助産施設を利用した場合に、世帯の所得に応じて出産費用の一部を助成しており、令和3年度、4年度は共に36人、5年度は39人の方が利用されました。
以上です。
◆質問 向田将央議員
ありがとうございます。
共同親権の成立に関連し、松山市の現在の子どもの貧困対策のことが気にかかり、今回このような質問をさせていただきました。
松山市としても、大切な取組をされていることがとてもよく分かりました。
ただ、幾らすばらしい取組を行っていたとしても、この情報が本当に必要としている松山市民、特にお子さんの下に届かなければ、その効果は大きくなりません。
松山市が一方的に発信し、例えば「ホームページで見てください」や「担当課に詳しいパンフレットがあります」といった案内では、情報の発信としては影響力が乏しく、限定的になってしまうと思います。
例えば、最近であれば、SNS等を用いた情報拡散の方法もあると思います。松山市民にかかわらず、松山市の取組に関心を持ったSNSユーザーに、情報の拡散に協力してもらう発信方法です。
貧困対策計画の推進に向けて調べる中で、松山市はよい取組を頑張っていると思います。せっかくの取組ですから、ぜひ本当に必要としている人の下にその情報がきちんと届けられることを願ってやみません。
最後にお伺いします。
国や県や松山市の貧困対策計画に盛り込まれている様々な制度や支援内容を、必要としている松山市民の下に漏れなく届けるためにどのように知らせていくのか、お聞かせください。
◎答弁 井出修敏こども家庭部長
本市では、妊娠・出産期からの相談窓口や、子どもの生活支援制度、医療費助成をはじめ経済的支援策など、子どもの貧困対策につながる制度やサービスについて、広報紙や市ホームページなどで周知しています。
また、様々な支援制度を具体的に紹介したひとり親家庭のしおりを毎年作成し、ひとり親家庭など、必要な方に直接お渡しし、制度の利用方法などをお伝えしています。
今後は、支援を必要とする方に向けたさらに効果的な情報発信を検討するだけでなく、策定後の松山市こども計画の周知に併せ、多くの方に子どもの貧困問題への理解を深めていただき、企業、団体、地域の方々が、子どもの貧困対策に取り組むきっかけづくりもしたいと考えています。
以上です。
◆質問 向田将央議員
ありがとうございます。松山市の支援を本当に必要としている人の下にそのサービスが届けられるよう、今後さらにその取組を充実していただくことを期待し、質問を終わります。

