平成26年 9月定例会 - 09月24日-05号

このたび、市民の皆様のお力添えにより初当選をさせていただきました自民党議員団の向田将央でございます。私が政治家を志すことを決意した当時、父親より贈られた短歌があります。

「この杭はだれにも譲らん赤とんぼ 我にもありし一本の杭」

これを読み返すたびに、市政に押し上げていただいた市民の皆様は私の杭で、この赤トンボのように何が何でも守り抜いていくと、かたく心に誓い、今回の初質問に移らせていただきます。


さて、平成2年、住み心地ランキング1位であった我が松山も、世帯別所得の低迷や政治上の主義主張争いにまで発展した水問題、産業廃棄物処理施設の環境問題など、いろいろな課題を抱え、住み心地のよいまちとは言えない状況になっているなと感じているのは私だけではないと思います。

松山市民の方々は、とても謙虚で我慢強く、不平や不満を大きな声を出して訴えることを慎んでいるように感じます。しかしながら、この4月に行われた市議会議員選挙の期間中、多くの有権者の方々から指摘されたことがあります。

それは、行政責任についてどう考えるかということです。例えば、必要のない道路や施設、設備などの公共事業への投資の失敗は一体誰が責任をとるのでしょうか。許認可事業についても同様です。

許認可権を持つ行政が、住民や環境を脅かす業者の失敗や不始末を、全て業者に責任があると言って逃げてしまうと、そもそも許認可の必要性すらなくなってしまうのではないかと思うのです。

どんな公共事業を行っても、許認可をしても、結局は庶民の血税で後始末をしているようでは、首長や議会、役所を含めた行政の意義が失われてしまうのではないかと考えさせられたのです。政府と地方自治体の負債が1,000兆円を超え、その返済を将来世代に委ねようとしている今、我々にできることは、可能な限り手を打っておくことが必要だと感じています。

その観点から、まずお伺いしたいことがあります。
松山市及び野志市長がお持ちの行政責任の定義はどのようなものでしょうか、お聞かせください。

ちなみに行政責任とは、大辞林第三版によると、行政機関がその国家作用に関して負う責任。

作為・不作為にかかわらず、その行為が行政機関として不適当なものであり、他に損害を与えた場合に負うべき責任となっており、さらに世界百科事典第二版によると、ある行政行為の結果が環境・人・物・自然などに損害や被害を与え、それが一定の法的・社会的準則から見て許されないものと考えられる場合、その行為が問責されること。

行政の責任領域とか行政の守備範囲というように、行政が責任を持って取り組むべき、あるいは解決すべき課題の総量をあらわす場合もある。行政責任が成り立つには、行政担当者がその職務上とった行為あるいはとらなかった行為の結果として、ある事態の発生を招来させたことが確認される必要がある因果責任となっています。

また、松山市が本来とるべき行政責任と市民の税負担の観点からお伺いいたします。

国からおりてくる地方交付税や事実上の借金である国庫支出金は、平成25年の資料によると、地方交付税が約254億4,600万円、国庫支出金が約362億1,460万円で、合計約616億6,060万円となっております。一般会計だけを見ても、地方交付税と国庫支出金の依存度は35%近くになっております。

国や地方の負債、将来世代へのツケを減らしていくためには、単純に35%以上の予算削減が迫られることになります。

本来、人口50万人を有する我が松山市のような中核都市のレベルであれば、単独税収でやりくりするような気概を持って財政危機に対峙しなければならないのではないかと認識しております。

また、交付金制度という、人口が集中する大都市圏の税収に依存し、疲弊した地方が交付税によって国の言いなりにならざるを得ない状況を打破していくためにも必要な試算であると考えております。

そこで質問です。野志市長は、今市議会開会の際、松山市の財政について18億円以上の黒字であるとおっしゃっておりましたが、松山市単独の税収で松山市が現在行っている各種事業の存続や事業が失敗したときの補填・補償などは可能なのでしょうか、お聞かせください。


次に、先ほどの行政責任の観点からも、松山市の西条・黒瀬ダムからの分水による水問題についてお伺いいたします。

私たち松山市民にとって水がなくなることは、利便性どころか、命にもかかわる重大な問題です。しかしながら、松山市民の皆様や各事業所の御尽力、節水型機器の目覚ましい発展・発達、人口減少社会を迎えることなどによって、本当は松山市に必要な水は減っているのではないだろうかと思うのです。

もしかすると、もう西条からの分水は必要ないかもしれないと、私たちを含めた市民の方々は感じているのではないでしょうか。もしそうであるならば、400億円を超えると言われ、1世帯当たり平均20万円近くもする大型公共事業を不必要な水のためにすることになり、それこそとてつもなく大きな行政責任が生じるのではないかとも思います。

また、臨時議会を招集するまでに至った32万人の署名がこのたび公開され、一部を閲覧したのですが、全てを精査するには膨大な時間がかかると思われます。いわゆる従軍慰安婦問題や福島原発の吉田調書に関して謝罪を行った朝日新聞の問題のように、遅きに失した感が否めません。

愛媛県知事と松山市長選挙が11月に行われる予定ですが、それまでに署名の精査が間に合わない可能性もあり、意図的に公開をおくらせたのではないかと思われても仕方ないと思います。

もしこの署名の中に同一筆跡の重複や明らかに本人と筆跡が違うものなど、作為的な工作が仕組まれていた場合、有効性が定かではない32万人の署名を根拠に、多額の税金を投入した上、水道料金まで値上げして、必要のない水を西条市から毎年買うことになっていたのではないかと思うと、恐ろしささえ感じます。

また、この署名は小学生以上となっており、常識的に考えても、法的に鑑みても、大型公共事業推進の根拠となるべき類いのものではないということが明白であることをつけ加えておきます。

そして、この署名に明らかな過ちがあった場合においても、それでもどうしても松山市の西条・黒瀬ダムからの分水が必要だとの立場を変えないのであれば、今後の人口動態、現在の必要水量などを市民の皆様に全て情報公開した上で、新たに松山市として公的なアンケートを実施してもよいのではないかと考えるのです。

そこで質問です。これは既に多くの議員からも質問があったこととは存じますが、松山市が西条・黒瀬ダムからの分水事業を見直さない理由と有効性がほとんどないと思われる署名ではなく、情報公開を含めた市民の同意を得るための公的なアンケートを行ってはいかがでしょうか。そのつもりがあるのかどうか、お聞かせください。


次に、産業廃棄物施設、いわゆるレッグ問題についてです。これは、許認可権のある行政がしっかりと監理・指導し、許認可の停止や早い段階での強制的な指導など、それなりの対応を行っていれば環境汚染を食いとめられたかもしれないと思うと、残念でなりません。

各種廃棄物に関しては、ごみを出す側にも問題があると思いますが、環境を破壊しかねない廃棄物等への対応は、業者任せではなく、許認可権を持つ行政がしっかりと監理・指導を行う必要があるのではないかと考えます。

昭和62年から稼働していた当該施設ですが、平成3年ごろからお隣、香川県の豊島において産業廃棄物の大問題が起こったにもかかわらず、当時レッグを管轄していた愛媛県は調査をしたのかもしれませんが、住民や環境を脅かす可能性のある産廃施設の調査資料などを保管しておらず、平成10年に松山市に許認可権が移管した以降も、当該産廃施設についての議会への報告や説明は一切なかったと聞き及んでおります。

これは、行政責任を軽視し、本来監理すべき施設を放置していたと松山市民の方々から言われても仕方ないと思うのです。ちなみに香川県では、行政責任として公害調停の最終合意に際して、廃棄物の認定を誤り、原因者、豊島開発に対する適切な指導監督を怠ったことを認め、申請人を含めた豊島住民の方々に知事が直接謝罪しています。

そこで質問です。許認可権の最終的な決裁権限を持つのは、議会なのか、首長なのか、役所の担当者なのか、一体誰なのか教えてください。また、松山市役所では、その許認可権限に対しどのような行政責任があるとお考えなのか、お聞かせください。

また、お隣の香川県では、知事が適切な指導監督を怠ったことを認め謝罪しておりますが、市長はこの件についてどのようなお考えをお持ちなのか、教えてください。


続いて、子育て関連についてお伺いいたします。本年4月、我が松山市は、待機児童数ゼロ人を達成したことについて高く評価し、今後も支援してまいりたいと考えておりますが、最近報道でも取り上げられた待機児童の定義について松山市も見直すと、待機児童数はどうなるのか危惧するところであります。

また、現在松山には64の小学校児童クラブがあると承知しておりますが、中には児童クラブのない小学校もあり、実際、児童クラブのある小学校への入校を希望する親御さんが引っ越しを余儀なくされる事例もあると聞き及んでおりますので、松山市民に対する行政の公平性の観点からも、早期に松山市全小学校へ児童クラブの設置をできるように御尽力をお願いしたいと思っております。

待機児童並びに児童クラブについては、他の多くの議員の方々が御質問されていると思いますので、私は若干違う観点からお尋ねしたいと存じます。

現在、松山市の小学校に設置された児童クラブを利用する親御さんたちの中には、裕福な家庭の方々も含まれ、本当に児童クラブへの依存が必要であるかどうかは定かではありません。

本来、児童クラブは、さまざまな事情により子育ての厳しい方々が利用すべきで、裕福な世帯であるにもかかわらず、共働きをしている理由だけで児童クラブを利用するのは、本来のあるべき姿と言えるのか疑問に感じます。子育てを行政に頼るのではなく、まずは親が見、親が育てるのが基本だと思っています。

さらに、行政の仕事というのは、本当に困っている人を助けるのが行政の姿勢であるべきではないでしょうか。児童クラブについても、本当に利用が必要であるかないかの各種の情報を把握し、精査していく仕組みづくりをすべきではないかと思ったのです。

そこで質問です。児童クラブの利用を国民健康保険や保育所、保育園のように、所得に応じて負担する仕組みづくりに対してどのように考えるのか、お聞かせください。


松山市の社会保障と世代間格差への取り組みについてお伺いいたします。

生活保護法の改正で、3親等以内の親族による扶養義務が強化されました。これを生活に不自由している老老世帯にも充当するべきではないかと考えています。

各家庭に諸事情があることは十分理解していますが、財政危機の原因にもなっている膨大に膨れ上がる社会保障費の全てを次世代へのツケにするわけにはいかないとも思うのです。さまざまな努力を積み重ねている人がいる一方、安易な考えで生活保護受給を望むのは間違っていると考えるからです。

まずは、親族間の助け合いが本来あるべき姿だと思っています。

それでもどうしても難しい場合に限り行政が支援をするというのが基本ではないでしょうか。もちろん、きちんと精査した上、本当に困っている世帯と認められた場合には、当然手厚い支援が必要だと考えています。

また、今や就労人口の1割ほどである60歳代、70歳代以上の方々が、日本の個人金融資産の約60%以上を保有していると言われ、さらに年金などの世代間格差はますます広がっていくと予想されています。

そこで質問です。今後、松山市において社会保障費がどのように推移していくのか、また現在松山市が世代間格差の是正についてどのような取り組みをしているのか、お聞かせください。


最後に、知事と市長の同時選挙を控えた現在の松山市政について、市長にお伺いいたします。維新の党と関係の深い中村愛媛県知事と同調している野志市長ですが、我が松山市において維新の党の橋下大阪市長が唱える県・市の二重行政に該当するのはどのようなものがあるのでしょうか。

また、二重行政の解消についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。その大阪では、府と市が一体になる大阪都構想を推進していると聞き及びますが、野志市長は松山市の将来構想をどのように描いているのでしょうか。また大阪都構想についてどのような見解をお持ちでしょうか、お聞かせください。

以上、初めての質問でお聞き苦しい点もあったこととは存じますが、誠実にお答えいただきますようお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。


 ◎野志克仁市長 向田議員に、私からは社会保障と世代間格差についてお答えをいたします。

戦後の日本は、国民のたゆまぬ努力により、高度経済成長と生活水準の目覚ましい発展をなし遂げるとともに、世界に冠たる社会保障制度を整備し、誰でも適切な医療・介護を受けられることや、年金による所得保障が高齢期の生活を支え、長寿大国日本を実現してまいりました。

その一方で、現在、世界に類を見ない少子高齢化に直面しており、社会保障給付費は平成21年度から総額100兆円を超え、そのうち保険料を除く公費負担部分は毎年1兆円規模で増加し続けている状況で、公費負担の国債依存による将来世代への過大な負担や年金給付額に対する世代間の損得論など、多くの課題があることも認識をしております。

そこで、本市の社会保障費の推移についてですが、本市においても少子高齢化が国と同様の推移を示していることに加え、生活保護受給者の増加、児童手当支給費や障がい福祉サービス事業費の増などを背景に、社会保障などに要する民生費は、平成25年度決算では一般会計歳出総額の44.5%を占める761億円となっており、直近5年間の平均で年に約40億円歳出額が伸びていますが、社会保障関係経費の増大への対応は、もはや一地方自治体の自助努力の域を超えており、社会保障制度の枠組みに大きな変更がない場合、今後も増加傾向が続いていくものと考えております。

次に、本市の世代間格差是正の取り組みについてですが、現在国では、社会保障と税の一体改革の中で、社会保障制度の財源確保や機能強化を図るとともに、制度を支える若い世代への支援を改革の方向性として示しており、世代間の格差の是正については、まず国の責任において全ての世代に安心や理解の得られる全世代型の社会保障への転換や一面的な世代間の損得論とならないよう国民への周知を図ることなど、必要な対策をしっかり行っていくべきものであると考えております。

こうした中、本市では、地方自治体ができる取り組みとして、商店街保育事業や家庭的保育事業などにより待機児童ゼロを達成したほか、子ども医療費助成の充実など、子育て環境の整備に努めております。

さらに、若年者を対象とした人材育成研修や公共職業訓練の受講奨励金支給など、若者への就労支援を実施し、若年層が経済面も含め、より暮らしやすく、より幸せが実感できる環境づくりに全力を挙げて取り組んでいるところであり、今後におきましてもできる限り世代間格差の是正が図られるよう努めていきたいと考えております。


◎大町一郎総務部長 向田議員に、行政責任についてと市政についてお答えをいたします。

まず、行政責任についてのうち、行政責任の定義についてですが、行政責任という用語は、法律上定められたものではなく、統一的な定義はありません。

辞書や文献によると、行政がその行為に関して負う責任や当然果たすべきものとして市政に期待される役割などが一般的な意味となります。

なお、本市に即して言うとすれば、行政責任とは松山市第6次総合計画に掲げる将来都市像、「人が集い 笑顔広がる 幸せ実感都市 まつやま」の実現に向けて、限られた財源や人員を最大限活用し、さまざまな行政需要や市民ニーズに適切かつ柔軟に対応することであると考えています。

次に、市政についてのうち、県・市の二重行政についてお答えをいたします。橋下大阪市長が唱える二重行政の解消は、これまで大阪府と大阪市が重複して取り組んできた事業や施設整備のうち、非効率なものを洗い出し、積極的な見直しを進めていくもので、その代表例として大学や病院などの行政サービスの見直し、地下鉄や水道事業の民営化、都市開発や観光戦略などの政策の一本化が挙げられています。

そこで、本市での二重行政の解消に向けた取り組みについてですが、本市では愛媛県と県内の市町とで立ち上げた愛媛県・市町連携推進本部を通じて、工事等入札システムの共同開発や観光、産業分野の共同PR、公共施設の管理業務、埋蔵文化財センター業務、動物愛護業務などについて愛媛県との連携を進めています。

また、二重行政の解消についての考えですが、厳しい財政状況のもと、最少の経費で最大の効果を求める自治体経営にとって、二重行政を解消し行政の効率性を高めることは、ますます重要となっています。

そのため、県と市が情報や課題を共有し、適切に役割分担するなど、さまざまな分野で組織の垣根を越えて相互に協力し、補完し合うことが不可欠となりますので、今後も引き続き県や他の市町と緊密に連携し、行政サービスの効率性や利便性のさらなる向上に努めていきたいと考えております。

◎大濱祥理財部長 向田議員に行政責任についてのうち、税収で現在行っている事業の存続や失敗したときの補填・補償などについてお答えいたします。

地方公共団体は、福祉、学校教育、消防、防災・減災、道路や河川等の社会基盤の整備を初め、国民生活に密接に関連する事業の多くを実施しており、国と地方の財政支出に占める地方財政のウエートは、最終支出ベースで約6割を占めていますが、これに対し国民が負担する租税収入の地方への配分は約4割と、国と地方の比率が逆転しており、その間に大きな乖離が存在しています。

こうしたことからも、国と地方の税財源配分を国と地方の役割分担に見合った形で見直すことが必要であると考えており、全国市長会や中核市市長会を通じ、地方の税財源の充実強化等について国に要望しているところです。

一方で、国は地方公共団体が担う重要な責任を果たすことができるよう、地方財政計画を通じて、地方の財源を保障する目的で、地方交付税などにより各地方公共団体に財源保障をしています。

この地方交付税は、団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう、国税として国が徴収し、合理的な基準によって再配分されることから、地方固有の財源であるとされています。

また、国庫支出金については、法令に定めるところにより、地方公共団体が実施しなければならない生活保護や児童手当の支給など国が共同責任を負う事務について、国と地方公共団体の経費負担区分に基づき、一定の割合を国が義務的に負担する国庫負担金が多くを占める現状となっています。

このように、地方が担う事務と責任を果たすべき財源を地方公共団体が十分に有していない現状においては、地方の税収のみで現在の行政水準を確保することは困難な状況にあります。また、事業が失敗したときの補填・補償などについてですが、本市が法的責任を負うような事態が発生した場合においては、その内容によって原因者への求償など、とるべき措置について最大限努めなければなりませんが、市の財源をもって対応しなければならない場合については適切に対応してまいりたいと考えております。


◎矢野大二総合政策部長 向田議員に、市政についてのうち、行政区の再編成構想についてお答えします。

本格的な人口減少社会の到来や市町村合併の進展など、大きく変化する社会情勢により、地方自治体においては複雑・多様化する住民ニーズや経済圏の拡大、公共交通網の整備のほか、環境対策や医療の確保など、行政区域を越える広域的な課題への対応が求められています。

これまでにも真の地方分権社会にふさわしい行政システム構築のための手段として、道州制など広域制度のあり方について国や地方で検討が行われてきました。大

阪都構想は、広域行政を担う都と身近な行政サービスを担う複数の特別区を再編成することにより、二重行政の解消や住民サービスの充実などを目指すものですが、人口260万人を超える大阪市と本市では、行財政規模や都市環境のほか、府や県などの広域自治体との関係性も大きく異なっており、また抱えている行政課題やその解消に向けた地方行政の枠組みにも違いがあると考えています。

一方、国は先般、人口減少対策や地方創生の司令塔となるまち・ひと・しごと創生本部を設置して、今後5年間の総合戦略と50年後を見据えた長期ビジョンを策定するとともに地域連携を推進し、地方の活力ある経済圏を形成するなど、地域の特性を生かした自主的な取り組みを支援する方針を打ち出したところです。

本市といたしましては、大阪都構想に見られる自治体の枠組みそのものを再編成するという構想は持っておりませんが、四国で唯一の人口50万都市として、市域だけでなく圏域全体を活性化し、地域経済を牽引する使命があると認識しており、今後、国が進める地方中枢拠点都市圏構想といった自治体間で役割分担しながら、広域連携を推進する手法などについて検討してまいりたいと考えています。 

◎岡本栄次水資源担当部長 向田議員に、水問題についてお答えします。

まず、西条・黒瀬ダムからの分水事業についてですが、本市の主な水源は、毎年のように取水制限を受ける石手川ダムと、わずか2カ月程度の少雨で著しく水位が低下する地下水の2つであり、非常に心もとない状況です。

この10年間の水事情と言えば、渇水対応を行わなかったのはわずか3年であり、本市にとって渇水は毎年のように襲われるものとなっています。その中でも、平成21年は、6月5日に渇水対策本部が設置された後、水源状況のさらなる悪化に伴い、6月12日からの7時間断水が決定され、各家庭に断水の予定をお知らせするチラシまで配布するほど状況は深刻でした。

たまたま直前の6月10日に、わずかばかりの降雨があり、何とか最悪の事態は回避されましたが、その半月後に水源状況が回復するまでの間、小・中学校のプール自粛はもちろん、本市の水道ではないものの、県営団地や近隣の自治体が断水するなど、地下水は平成6年を超え過去最低を記録しました。

このように、本市の水事情は毎年綱渡りの状況であり、決して楽観視できる状況にはありません。こうした状況を考えると、大規模な第3の水源はなくてはならないものであると考えています。

この新しい水源については、平成16年に策定した長期的水需給計画で算出された1日の不足水量、最大4万8,000立方メートルを確保するため、想定し得る19の開発方策の中から、市議会において詳細な議論が重ねられた後、取水の安定性などにより黒瀬ダムからの分水と海水の淡水化の2方策に絞られ、よりコストにすぐれていることから、平成17年12月、分水を最優先とする決議がなされ今日に至っているものです。

こうした経緯を踏まえた上で、ほかに分水よりすぐれた策が見出せない現在、方策の変更は考えていません。

次に、公的なアンケートを行うつもりがあるかについてお答えします。まず、32万人の署名は、原議員にも御答弁しましたように、平成22年3月31日に、第3の水源の確保を求める市民の会から、市民が「水」に関して、安心できる松山市を実現していただくため、松山市議会で決議された方針に基づき、黒瀬ダムからの松山分水をお願いすることにつき、御尽力くださいますよう、松山市長に対して、ここに31万8,879人の署名をもって要請いたしますと、市民の会の有志代表者から市長に手渡されたもので、住民投票のように必ず署名数などを確認しなければならない法的な義務があるものではなく、松山市民の水源確保に向けた熱い思いが届けられたものであると認識しています。

そこで、お尋ねの公的なアンケートについてですが、黒瀬ダムからの分水を優先した取り組みは、先ほども申し上げましたとおり、あくまで平成17年当時、市議会において十分に審議、御判断いただいた上で導き出された決議によって行われているものであり、情報公開についても第6次松山市総合計画の人口などの見通しを初め、長期的水需給計画、新規水源開発のための19方策、水問題に関する協議会の状況、そして水道事業に関する統計年報など、本市の水に関連する情報については、広報紙や市のホームページ等を活用し積極的な公開に努めています。

また、今議会で補正予算案を上程している長期的水需給計画の検証事業においては、水需要の実態を把握するため、市民へのアンケートや企業へのヒアリング調査を実施する予定であり、さらに学識経験者、各種団体、公募による市民などで構成する検討委員会を設置して御審議をいただき、検証の最終段階ではパブリックコメントを実施するなど、広く市民の意見を求めることとしています。こうしたことから、市民の同意を得るための公的なアンケートを行う考えはありませんので、御理解いただきますようお願い申し上げます。


◎唐崎秀樹子ども・子育て担当部長 向田議員に、児童クラブの所得に応じた負担の仕組みについてお答えします。

児童福祉法では、児童クラブは児童に適切な遊び及び生活の場を提供して、その健全な育成を図ることを目的とするもので、その対象は保護者が労働により昼間いない、あるいは家にいても親の介護などで育児が困難な小学校の児童と規定されていますので、保護者の所得の状況ではなく、保護者の勤務時間などを精査して入会を決定しています。

また、児童クラブの利用料としては、各地域の運営委員会の規約に基づき、おやつ代や校区外活動など、実際に入会児童に必要な費用を負担していただいています。

このように、児童クラブに関する法律の趣旨や実費相当額の負担がなされている現状を考えると、所得に応じた負担をする仕組みを導入することは現時点では考えていませんが、今後は国による子ども・子育て支援新制度の動向や他市の事例を参考に調査研究していきたいと考えています。  


◎大野彰久環境部長 向田議員に、レッグ問題についてお答えします。

まず、許認可の決裁権限を持つのは誰なのかについてですが、廃棄物処理法では、産業廃棄物に係る許認可権限について、中核市以上の市の場合、市長に属することとされていますが、本市では松山市職務権限規則により、産業廃棄物の許認可に関することについては環境部長の専決事項としています。

しかしながら、この専決行為については、市長の権限を補助的に行使するものにすぎず、法的には産業廃棄物の許認可権限が市長に属することにかわりはありません。

次に、許認可権限に対しどのような行政責任があるかについてですが、本市は許認可の審査に当たり、提出された書類や現地の状況について、関係法令に照らして審査するとともに、許認可を行った後も定期的に立入検査を繰り返すなど、法令に基づく権限を適切に行使することなどを通じて生活環境を保全し、市民の安全・安心を確保する責任を有しているものと考えています。

次に、香川県の事案を踏まえた本市の見解についてですが、レッグ事案は香川県豊島事案と同様に、産廃特措法の適用を受ける不適正処理事案であり、同法の適用を受ける際に必要となる過去の行政対応等の検証を松山市廃棄物処理施設審議会に求めたところ、行政の対応について十分でないところもあったものの、法的な問題があったなどの指摘はありませんでした。

したがって、本事案について、本市には法的な責任はないものの、レッグが法令に従わず、処分場の適切な維持管理を行わなかったことから、このような問題が発生し、対策に多額の公費を要する事態となりましたことは極めて遺憾です。

本市としましては、二度とこのような事案が生じないよう、行政処分に係る基準の厳格化や新たに立入検査マニュアルを策定し、処理業者への監視を強化するなど、再発防止に向けた取り組みを進めるとともに、本事案の原因者であるレッグ等不適正処分に関与した者に対しては、代執行に要した費用求償や命令違反に対する刑事告発を行っています。

今後は、行政の対応に十分でないところもあったとの審議会の指摘も踏まえつつ、徹底した責任追及を進めた上で、市民の皆様に対し説明責任を果たしていきたいと考えています。

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