平成26年4月、松山市議会議員としてのお役目を拝命して以来、もう間もなく丸3年が経過しようとしています。
議員となって以来、特に議会質問において私が大切にしているのは、松山市議会を松山市民の皆様にとってわかりやすく、理解しやすいものだと感じていただいていただく事です。

勿論議会ですから、専門用語もたくさん登場しますし、専門用語を用いて話をしなければ本当に大切なことを役所の方に伝えることができないケースもたくさんあります。

ですが、だからこそそんな「専門用語」を出来るだけ市民の皆さんにも理解しやすい表現に言い換えてお伝えすることがとても大切なことだと思っています。

例えば、私は前回、12月の松山市議会に於いて、「西条分水問題」について議会質問させていただきました。

松山市民の皆様の中にはきっと、「西条分水問題」と言われても、それが一体何のことを言っているのか、まったくわからない人もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

私は議員になる前に、「秘書」という立場で政治に関わらせていただいていましたので、皆さまより少しはこの「西条分水問題」のことを理解しているつもりです。

ですが、そんな私でもいざ「議会質問」として松山市側に質問をしようとすると、解らないこと、知らないことだらけで、松山市から提出された資料を見ても、それの一体何が問題であるのかということを理解するために、とても大変な思いをしました。

西条分水問題って何?

「西条分水」というのは、簡単にいうと、

「松山市では水が足りないから西条市から水を分けてもらいましょうね」

ということです。
ですが、この「西条分水」には、これが「必要だ」と考える人と、「必要ではない」と考える人がいて、それぞれの間で意見が別れています。

そして、それぞれの意見の違いのことを「西条分水問題」という名称で表現されています。

では、どのような意見の違いがあるのかということを、昨年10月に行われた「第4回松山市水資源対策検討委員会」の例を参考に説明してみます。

長期的水需給計画(平成28年改訂版)(資料①)

上記資料は、昨年10月に開催された「第4回松山市水資源対策検討委員会」にで松山市から配られた資料です。
(クリックいただきますと、PDF資料を閲覧することができます)

私向田は、現在この水資源対策委員会の担当委員も務めています。


資料②

こちらは同じ資料を市民の皆様にもわかりやすいように、図形付きで松山市側がまとめたものです。
(資料は先日2月上旬に更新されています)

「長期的水需給計画」とは、平成6年に起きた「平成の大渇水」をきっかけとして、平成16年に考えられたたものです。

28年10月に行われた委員会で問題とされたのは、資料②5ページに掲載されている、以下の内容についてでした。

解りやすくまとめられているはずなんですが、とてもわかりにいですね。

少し解説しますと、「長期的水需給計画」では、「目標年度」というものが決められていまして、その目標年度が平成27年度です。

平成27年度ですから一昨年度のこと。

この年、松山市全体で一年間に必要とされる「水の量」を予測し、この予測に基づいて「長期的水需給計画」は考えられました。

その目標年度がやってきたので、その内容を確認すること目的として行われたのが10月の「第4回松山市水資源対策検討委員会」です。

市民目線で、わかりやすく作られているはずの同資料ですが、水問題の事を知らない市民の皆様には、まったく理解することができない、難解な資料となっています。

上グラフは、「現在の供給可能量(140700㎥/日)で補えない水量」という名称になっています。

簡単に言えば、平成16年度に、平成27年に不足すると予想された「水の量」は松山市全体で1日当たり48000トンと考えられていたのに、平成27年、実際に足りなかった水の量は松山市全体で40000トンでしたよ、ということを書いています。

ところが、です。

同じ図表から、問題となった部分を更に抽出してみました。
ものすごくわかりにくいですよね。

数字が左から

14,400、5,600、11,000、9,000

と記されています。そして

14,400(現行サービス分)
5,600(給水圧の改善分)
11,000(未給水地域の統合分)
9,000(都市リスクの低減・安全性向上)

と、それぞれの数字に項目の名称が割り振られています。

松山市のホームページに掲載しているPDF資料は非常に文字が小さく、読みづらい為、参考として掲載されている平成16年度の数字を更に拡大してみました。

先ほどのグラフでは、数字が4種類存在し、項目名も4つ掲載されていたのに、なぜかこちらの資料では数字は2種類しかなく、項目名も2つしかありません。

数字は 36,000 12,000 の二つ。それぞれの名称が

36,000(現状の給水区域で不足する水量)
12,000(未給水地域の統合)

となっています。

並べてみます。

【松山市が必要とする水の量】(グラフ①)

A.14,400(現行サービス分)
B.5,600(給水圧の改善分)
C.11,000(未給水地域の統合分)
D.9,000(都市リスクの低減・安全性向上)

【前回平成16年度計画での予測】(グラフ②)

a.36,000(現状の給水区域で不足する水量)
b.12,000(未給水地域の統合)

同じ名称で掲載されているのは、唯一「未給水地域の統合」という名称のみで、残りの項目についてはその名称が一致しません。

実は、グラフ②中「現状の給水区域で不足する水量」とは、グラフ①中「現行サービス分」と同じ意味合いです。

グラフ①の中でグラフ②中「a」に対応しているのは「A」、「b」に対応しているのは「C」であり、グラフ①のBとCは、元々グラフ②の試算には含まれていなかった値です。

これが、なぜか「第4回松山市水資源対策検討委員会」で松山市が示した資料に突然出て来た為、この事で委員会が紛糾することになりました。

しかも、委員会で松山市が提出した資料では、グラフ①中AとBが区別されておらず、あたかもグラフ②中aと同じデータであるかのようにして示しており、このことが、他の会派ではありますが、私と同じ松山市議会議員である梶原議員の指摘によって明らかになりました。

 

この問題で、「分水に賛成する側」の人は、次のように考えています。

① 平成の大渇水のような大きな渇水が訪れると、松山市民が生活に必要とする水が足りなくなり、生活ができなくなってしまう。

一方で反対する側の人は、次のように考えています。

② 平成の大渇水のような渇水が起きたとしても、それは単年度のことで、そのために大きなお金を使ってまで西条から水を引っ張ってくるための工事を行う必要はない

皆さんは、どちらの意見が正しいと思うでしょうか?

議会質問のあるべき姿

今回の記事で私が記した内容は、主に「第4回松山市水資源対策検討委員会」に於いて話し合われた内容です。
ですが、実際にこの内容を、議会質問で行ったとすればどうでしょう。

松山市民にとっては、何が問題であるのかということをまったく理解することは出来ません。
ですが、この問題で私たちの生活に直結するのは、分水が行われた結果、松山市民の水道料金が10%~15%上昇すると考えられていることなのです。

西条分水問題の発端は今から約20年前に発生した「平成の大渇水」です。
ですが、特に昨年の法改正によって新しく選挙権を有することとなった18歳の若者はこの時まだ生まれてさえいません。

当然平成6年に何があったのか、などということを知るはずがありません。

松山市議会を、本当の意味で「市民の皆様にとってわかりやすく、理解しやすい」議会にしようとするのならば、特に新しく選挙権を有することになった若者を置き去りにすることなく、むしろそのような若者たちにもきちんと理解できる形にすることが本当の「議会」の在り方ではないでしょうか。

私が目指しているのは、「市民の皆様にとってわかりやすく、理解しやすい」議会です。

市民の皆様、松山市議会を「難しい」ものだと思い込まず、ぜひ関心を持ってみてください。
松山市のHPには動画も掲載されています。

松山市議会録画中継

そして私向田に、

「ここが分かりやすかったよ」
「ここが分かりにくかった」
「ここはこんな風に言った方がいいんじゃないかな?」

とぜひ皆様のご意見をお聞かせください。
そんな皆さんのご質問を反映させながら、みなさんに関心を持ってもらえる議会質問を目指します。

「市民の皆様に関心を持ってもらうこと」

これが、松山市政をよくしていく一番の近道だと思います。

次回以降コラムでは、今回話題にした「水問題」を、私の議会質問から抽出し、いくつかのパートに分けて解説したいと思います。

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